ロスト北斎 The Lost Hokusai「幻の巨大絵に挑む男たち」

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「冨嶽三十六景」など浮世絵といえば誰もが思い浮かべる作品を生み出した浮世絵師・葛飾北斎。元祖クールジャパンとして、世界にその名を知られる日本人の一人で、荒波が強烈な印象を与える「神奈川沖波裏」は”Great Wave”と呼ばれ、ヨーロッパでは「モナリザ」に次いで知られる絵画という。

かつて、この北斎が最晩年の86歳で手がけた、巨大な作品が存在した。幅3メートルもある大画面に、須佐之男命が十数名の疫病神を退治する様子が、きらびやかな色彩と、大胆な筆遣いで描かれたという肉筆の大群像画。まさに北斎版の「ゲルニカ」とも言える大作だ。江戸・向島の牛嶋神社に奉納されたが、関東大震災で焼失。その姿を知る手がかりは、明治末に写された、一枚のモノクロ写真だけだった。

今年、11月に開館予定の「すみだ北斎美術館」が、その写真を元に“幻の巨大絵”を原寸大で復元するプロジェクトを始動。写真の明暗差の解析から、当初の色を導き出すなど、最新技術を駆使。単なる色の再現にとどまらず、北斎独特の筆遣いを絵画修復の専門家が分析。さらに北斎の膨大な作品を研究してきた美術史家も加わって「失われた大作」の復元に挑む。まさにデジタル時代だからこそ可能な壮大な試みだ。

番組は、幾多の障害に直面しながら、北斎芸術の復元にかける男たちを徹底ドキュメント、北斎の人物像に迫る。なぜ北斎はこの巨大絵を描いたのか?そこには、死や病を恐れる江戸の人たちを筆絵で救おうとする絵師の姿が浮かび上がり、実写とアニメーションを融合した新たな演出で、江戸社会の実像をも解き明かす。

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