山口藍展 「今と古ゝに」

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東京都新宿区のミヅマアートギャラリーで、5月9日(水)より6月9日(金)まで山口藍展「今と古ゝに」を開催。

「とうげのお茶や」で暮らす遊女たちの姿を通し、ただひたすらに美しいと感じられるものが作りたいという山口氏の揺るぎない思いで構築されてきた作品の世界観は、特徴的な「ふとんキャンバス」だけでなく、和紙や板、貝殻、陶板など、素材が持つ様々な可能性と呼応して、いくつもの情景を提示してきました。

書や和歌、着物の紋様など、日本の文化や慣習に山口氏独自の解釈を与えながら描かれるしなやかな描線や繰り返される模様には、移ろいゆく季節の一瞬の美しさと、流れる時間の蓄積が同居しています。

同展では、和紙や木を中心とした細やかな作品を配置しつつ、会場の中心に置かれたふわりとした紙の舟と展示空間をまわれるような壁面とを関連させ、全体をひとつの情景に見立てます。

思考と動きがピタリと合いうまく波に乗って舟を漕ぎだすように、ありのままに描く絵が、目の前を過ぎていく美しい風景と同じように在りたい—そんな思いを込めて、同展のタイトルは「今と古ゝに(いまとここに)」と題されました。

今回のエキシビションは、近年、アジアやアメリカ、オーストラリアなど海外での発表の機会が続いた山口藍氏の、東京では5年半ぶりの新作展となります

作家コメント

「今と古ゝに」
自分が何を求めてそれに追いつき表現しようとしているのかを考えていたとき、導かれるように中井正一著 「美学入門」を手にとりました。その中に綴られた言葉によって思考が具体的に解決されていきながら、長く描画するうちにえぐられたり削られたりし自然と表出したひとつの秩序のようなものを自分の中に得られたのではないかと感じました。
今展覧会名は同著の中(文字表記は『今とここに』)から引出してきた言葉ですが、つねに流れと調和し心地よく舟がするすると前進するように、人々の心に美しい印象として留まりながら止まらずに進む季節のように、今の自分がその秩序に乗ってここに思うことを軽やかに描いてみようと考え題名にしました。
そしてまた、作品が人々の言葉にならない感情を穏やかな景色に置換できれば幸せな事です。
山口藍

ミヅマアートギャラリー公式サイトより

場 所

ミヅマアートギャラリー ( 東京都 新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2F )

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